樹木は素敵なアーティスト。落ち葉と戯れるちょっと心地よい一日。 ウィーン旅行記、初めての野菜づくりの体験記も。コメントお待ちしてます!  
狼森と笊森、盗森
2007年12月12日 (水) | 編集 |
 小岩井農場の北に、黒い松の森が四つあります。一番南が狼森(おおのもり)で、その次が笊森(ざるもり)、次は黒坂森、北のはずれは盗森(ぬすともり)です。


(中略)


そこで四人の男たちは、てんでにすきな方へ向いて、声を揃えて叫びました。

「ここに畑起こしてもいいかあ。」

「いいぞお。」森が一斉にこたえました。


esA_794狼森


「ここに家建ててもいいかあ。」

「いいぞお。」森は一ぺんにこたえました。

esA_814笠森


「ここで火たいてもいいかあ」

「いいぞお。」森は一ぺんにこたえました。

esA_790狼森


「少し木貰ってもいいかあ。」

「ようし。」森は一斉にこたえました。



宮沢賢治の童話「狼森と笊森、盗森」は、
小岩井農場の開拓のはじまりをモチーフに、
人も自然も一つの宇宙という賢治の世界観が描かれています。


緑色の文章は引用:宮沢賢治著『注文の多い料理店』より「狼森と笊森、盗森」 新潮文庫
上の落ち葉は狼森、笊森、盗森で拾いました。




m.ishii 狼森、笊森、盗森  小岩井農場 岩手県 2007.11
秋の小岩井農場 パート7 「かしわばやしに」行ってみたい。
2007年12月06日 (木) | 編集 |
(c)m.ishii



秋の小岩井農場を歩く。
牧場には、堂々としたミズナラの大木のランドマーク。

ミズナラの落ち葉を踏みながら柵に沿って歩いていると、
その何倍もある、子供の顔が隠れるぐらい大きな葉。
モニャモニャした、ちょっとおどけた葉っぱ。

あった、やっと会えた。かしわの落ち葉。


esA_795小岩井



今回の東北の旅は、この日で1週間。
でもまだ会えていなかった木があった。
宮沢賢治が大好きだった「かしわ」の木。
そいつにやっと会うことができた。
思わず心温まる、ひょうきんな木だ。

葉っぱもおどけているけど、
木の格好も何だかビシッとしない。
どてっと構えるミズナラと比べると、やっぱりおどけている。
僕はかしわの木を見ると、
その無骨な枝の格好といい、樹皮のシワの具合といい、
ひょろっとした陽気なおじいさんを連想せずにいられない。



_MG_1984.jpg



宮沢賢治の童話「かしわばやしの夜」は
主人公の清作と画家が、夜のかしわばやしの歌合戦に招待されるというもの。
カシワの木々が次々に自慢の歌を披露する。

「やまねこ、にゃあご、ごろごろ、
  さとねこ、たっこ、ごろごろ」

「うこんしゃっぽの カンカラカンのカアン
 あかいしゃっぽの カンカラカンのカアン」


見るからにひょうきんなカシワに、こんな歌を歌わせる賢治の気持ちが、
僕も分かるような気がする。



_MG_1997.jpg



そして夜のかしわばやしの宴会は最高潮に。
 賢治はカシワの木々やフクロウたちの歌を借りて、
とっても陽気になって乗りに乗って、本当に楽しそうだ。     


「おつきさん おつきさん  まんまるまるるるん
 おほしさん おほしさん  ぴかりぴりるるん
 かしわはかんかの    かんからからららん
 ふくろはのろづき    おっほほほほほほん。」

かしわの木々は両手をあげてそりかえったり、
頭や足をまるで天井に投げ上げるようにしたり、
一生懸命踊りました。

(中略)

柏の木大王もよろこんですぐうたいました。
「雨はざあざあ ざっざざざざざあ
 風はどうどう どっどどどどどう
 あられはぱらぱらぱらぱらったたあ
 雨はざあざあ ざっざざざざざあ」



そして霧が出て、主人公の清作が森を出て帰る時には、


 柏の木はみんな踊りのままの形で残念そうに横目で清作を見送りました。


そう、カシワの木のおどけたような立ち姿は、
夜に歌合戦をして踊っているからなのです・・・

ああ、賢治をこんなにハイにさせる、夜のかしわばやしに行ってみたい。



esA_810小岩井



photo:m.ishii
2007.11
引用:宮沢賢治著 「注文の多い料理店」より「かしわばやしの夜」 新潮文庫

賢治を訪ねて。 秋の小岩井農場 パート6
2007年12月03日 (月) | 編集 |
(c)m.ishii



思わず足が止まる。
紅葉するモミジバフウの円すいの樹形のきれいなこと。
飾り付けたクリスマスツリーよりも華々しく美しい。

ここは小岩井農場の南の端の林。
こんなところに外来種の樹がなんで生えているのだろうと、
ちかくの造園屋さんに立寄り訪ねると、
小岩井農場は昔火山の噴火で溶岩に覆われていたところを開拓し
110年かけて今の姿にしたのだと
モン・ベルのベストを着たお兄さんが
静かに語ってくれました。

林の木々の多くは植林したものなのだそうです。

賢治が詩集「小岩井農場」で

「そうです。農場のこのへんは 
まったく不思議におもわれます。
どうしてかわたくしはここらを
der heilige Punkt(聖なる地) と
呼びたいような気がします。」


と、この辺りを書いています。

そのころ、このモミジバフウがあったかは分かりませんが、
「der heilige Punkt」は、
溶岩流の褐色の荒野を、人が緑に変えた風景なのでした。


モミジバフウ  小岩井農場 07.11
photo:m.ishii
Canon EOS5D EF50mmF1.4

引用:宮沢賢治著 新編宮沢賢治詩集 新潮文庫
賢治を訪ねて。 秋の小岩井農場 パート5
2007年12月01日 (土) | 編集 |
(c)m.ishii


ユリノキ 小岩井農場 2007.11 photo:m.ishii
秋の小岩井農場 パート4
2007年12月01日 (土) | 編集 |
(c)m.ishii



小岩井農場 岩手県 2007年11月
photo:masayoshi ishii