樹木は素敵なアーティスト。落ち葉と戯れるちょっと心地よい一日。 ウィーン旅行記、初めての野菜づくりの体験記も。コメントお待ちしてます!  
ブルックナーの眠る場所 ザンクト・フローリアン修道院3
2006年12月18日 (月) | 編集 |
嵐のような強い風と冷たい雨にさらされながら、
僕は礼拝堂の扉の前にたどり着いた。
厚く、重く、大きな扉をゆっくり押し、開けた。

そこは人工照明が一切消された、薄暗い空間。
天窓からは弱々しくも柔らかく優しい自然光が降り注いでいる。

入ったところは、礼拝堂の席のさらに後ろの場所。祭壇とは反対の身廊(中央の廊下)の突き当たりだ。
そこは礼拝堂の吹き抜けの空間とは柵で仕切られていて、それより中には入れない。

暗闇に慣れない眼を凝らして柵の向こう側を眺めると、
そこには柔らかい光に包まれた、荘厳な祭壇があった。

(c)masayoshi ishii



その祭壇からまっすぐ伸びた身廊の、柵のこちら側の突き当たりの床には、
人の背丈程の長方形の石のプレートが埋め込まれていて、
そこには「ANTON BRUCKNER (アントン・ブルックナー)」の名が刻まれていた。

ああ、やっと会えた・・・

この石のプレートの下には小部屋があって、ブルックナーの棺が納められているのだ。

僕は自然とひざまずき、彼の名の刻まれたプレートに手を当て、しばらく眼を閉じた。
拝んだり黙祷したりという柄ではないが、
この場所の記憶を少しでも心に刻んでおきたかったのだ。
誰もいない教会。しんと静まり返っている。
不思議なのが、その石の床を「冷たい」と感じた記憶が、今思い返しても無いことだ。

そうしていると、背中に人の気配が・・・。

振り返ると、そこにはロングコートにスカーフを巻いた、
身なりの清楚で品の良い、小柄なおばあさんがいつの間にか立っていた。

「グリュース・ゴット(こんにちは)」笑顔で挨拶を交わす。

僕は立ち上がり、わずかに知っているドイツ語のフレーズを使って、
「イッヒ リーベ ブルックナー(私はブルックナーを愛してます)」と一言。

この一言が、僕がドイツ語を話せると思い込ませてしまったらしい!
それからおばあさんは、止まること無くしゃべり出したのであった。

僕が「I can not speak German!!」と言っても、通じない。

でも全く言葉は分からないのに、ジェスチャや指す指の方向で、
何について話しているのか、何となく分かる。
おばあさんは、この教会について解説してくれているのだ。

それからおばあさんは、「礼拝堂の中に入って見てみなさい」というようなことを言い、手招きをする。それについてゆくと、礼拝堂と僕のいた場所を隔てていた柵には一カ所だけ扉があって、そこから礼拝堂の中の大空間に入ることが出来るようになっているのであった。

このおばあさんに会わなければ、柵の中に入らずに帰ってしまうところだった...幸運。

僕はその小柄で可愛らしいおばあさんと並んで、礼拝堂の身廊(中央の廊下)を歩いた。
おばあさんはしゃべりつづける。

つづく・・・

(次はブルックナーオルガンの写真UPします)

撮影日:2006.11.5
オーストリア リンツ ザンクト・フローリアン修道院
St.Florian Linz Austria

CANON EOS5D
EF50mmF1.4




テーマ:クラシック
ジャンル:音楽