2007年04月05日 (木) | 編集 |
畑を耕すことに決まって、今年の春はなんだかとても新鮮な気持ちです。
そのうち調子に乗って、農業を始めてしまうかもしれません。
いや、初めちゃってもいいと思う。面白そうだ。
その時のために今何をしたら良いのか考えました。
そしてまずやったことが、「身内を巻き込む」ことです。
実家の両親に幾つかの相談をしに帰郷しました。
30半ばを過ぎた男が何か新しいことを始める時に、
わざわざ隠居間近の両親に相談することもあまりないでしょう。
でも農業をやろうというときは、仕事柄、身内の理解協力が不可欠なのです。
その人間関係が農の世界の面白さでもあります。
「ちょっと相談がある!」
と突然父に電話し、その後実家に帰省し、両親にこれこれこういうことだからいずれ農業を始めるかもしれないことを述べました。
両親は「なんだ〜!仕事が傾いたから、親の年金を当てに帰ってきたのかと思った。」と冗談を言いながらも、かえって僕が農業をやることを面白がってくれました。何か手伝いたいぐらいの勢いでしたので、ホッとしました。
今回両親と会ったのは、そういう報告をしておこうという目的もあったのですが、
実はそれより何より押さえておかなければならない重要案件があったからなのです。
さて「農業を始めよう!」という人々にとって一番気がかりな問題は何でしょうか?
「耕す土地が手に入るか」どうかです。
とにかく今の日本の農業事情で「農業を意欲的に取り組もうとする人に対して土地が行き渡らない」という問題は深刻なのです。(その理由は3/21のブログに書いた通りです。)
特に都市近郊の農地は宅地などに転用売却され、ものすごい勢いで減っています。
僕の実家は祖父の代まで農家をしていて、幸いにもまだその農地が残されています。
長年趣味の家庭菜園として維持(事実上は遊休農地?)しているのですが、
例に漏れず僕の両親も、この農地が開発の網に引っかかって転用地として高く売れる日が来ることを、少なからず期待し続けているのです。悲しい現実です。
僕は父に「今の畑はいずれ使うから絶対売らないように!!」と強くお願いをしました。
一応同意はしてくれましたが、畑の周囲ではどんどん大規模ニュータウン開発が進んでいるので、土地の転用売却の危機は、今後も常につきまとうでしょう。
また、「今の畑では耕作面積が足りないので、いずれ周囲の畑を知り合いの農家から貸してもらうことはできないか」と訪ねました。
すると、
「そんなもん、いくらで貸してもらえるよ」とのこと。
「そ、そんな簡単に貸してもらえるの?」
という問いに対して父が話してくれた内容に、唖然としてしまいました。
話はこうです。
『今、町では農業の後継者がなくて、耕しているのはもうずいぶん前からおじいさんおばあさんばかりだが、その人たちもどんどん耕すのをやめている。ウチの家庭菜園の周りの畑は、耕せる人がほとんどいなくなった。でも休耕地になってしまわないように、一人のおじいさんが何件もの農家の畑を耕してやっている』というのです。
だから、「耕す人がいるのなら農家は喜んで貸してくれるだろう」と言うのです。
こんなことだから、そのおじいさんの耕す畑の生産効率など良いはずもなく、
「一反歩(33mmx33m)につき儲けが年間10万円ぐらい」なんだそうで、
商売としては全然なりたっていないそうです。
市場へは出荷しているものの、息子たちが別の仕事をして稼いでくるし、農業での売り上げはお小遣い程度としか考えていないようです。
そうしてまで耕作を続けている理由は、荒れ地にしないように管理するためというのが現実でしょう。
いちど耕作をやめると、日本の温暖湿潤な気候では植物の生育が旺盛なので、あっというまに薮に覆われてしまいます。
跡取りもいない。作っても儲からない。
そうなってくると農家の方々は、農地を維持しながら、いずれその農地が高く転用売却されることに期待を寄せるようになります。
農地として売却や譲渡は絶対にしないのに、
転用して売れるとなれば、ここぞとばかりにすぐに売ってしまうのです。
(農地として売るのと宅地として転用して売るのでは、一桁も値段が違うのです。)
自らの農業で期待するのはそういう「耕すこと以外からの収入」ということになってしまっています。
それはもう少なくとも実家の町では公然の事実で、実際農家らの間では、「xxxさんの畑が道路開発に引っかかって、xxx円で買い上げられた。そのお金で最近息子の立派な家を建てた。」とか、そんな話題ばかりなのです。
田園風景、優良農地は残しておきたいという声が多いなか、肝心の地主である農家の方々は、むしろ開発を歓迎する傾向にあるのです。
(自分の故郷の人々をこのように言うのはつらいことですが、でもこれが避けられない現実なのです。もちろんすべての農家の方がそうではありませんが)
一度農地を転用して宅地などに開発してしまえば、
そこは二度と農地には戻らないでしょう。
ショッキングな話です。
僕の故郷は今も穏やかな農の生きる町だとばかり呑気に思っていたら、
実情はそんなにボロボロだったのです・・・。
こんな状況は決して僕の町に限ったことではないでしょう。
それどころか、日本全土でこのような事態が進行しているのです。
もし農業をやるとしたら、自分の故郷であれば意外に簡単に土地は貸してもらえることが分かり、その件に関しては多少なりともホッとしました。
でも実家の町の農業、日本の農業、ホント危ないんじゃないか?
どうなってしまうんだろう・・・
と思い、勉強を始めるきっかけにもなりました。
農家の方々の耕作意欲を減退させ、後継者を断ち切らせ、あげくの果てに大切な農地の転用売却収入を当てにするようにさせてしまった日本の農業の仕組みって何なんでしょう。
農政のことを考えると、ちょっと暗くなりがちです。
でも、それでもやってみたいなと思う程、今は農に魅力を感じていますが。

photo:masayoshi ishii kouhoku-ku kanagawa-ken
そのうち調子に乗って、農業を始めてしまうかもしれません。
いや、初めちゃってもいいと思う。面白そうだ。
その時のために今何をしたら良いのか考えました。
そしてまずやったことが、「身内を巻き込む」ことです。
実家の両親に幾つかの相談をしに帰郷しました。
30半ばを過ぎた男が何か新しいことを始める時に、
わざわざ隠居間近の両親に相談することもあまりないでしょう。
でも農業をやろうというときは、仕事柄、身内の理解協力が不可欠なのです。
その人間関係が農の世界の面白さでもあります。
「ちょっと相談がある!」
と突然父に電話し、その後実家に帰省し、両親にこれこれこういうことだからいずれ農業を始めるかもしれないことを述べました。
両親は「なんだ〜!仕事が傾いたから、親の年金を当てに帰ってきたのかと思った。」と冗談を言いながらも、かえって僕が農業をやることを面白がってくれました。何か手伝いたいぐらいの勢いでしたので、ホッとしました。
今回両親と会ったのは、そういう報告をしておこうという目的もあったのですが、
実はそれより何より押さえておかなければならない重要案件があったからなのです。
さて「農業を始めよう!」という人々にとって一番気がかりな問題は何でしょうか?
「耕す土地が手に入るか」どうかです。
とにかく今の日本の農業事情で「農業を意欲的に取り組もうとする人に対して土地が行き渡らない」という問題は深刻なのです。(その理由は3/21のブログに書いた通りです。)
特に都市近郊の農地は宅地などに転用売却され、ものすごい勢いで減っています。
僕の実家は祖父の代まで農家をしていて、幸いにもまだその農地が残されています。
長年趣味の家庭菜園として維持(事実上は遊休農地?)しているのですが、
例に漏れず僕の両親も、この農地が開発の網に引っかかって転用地として高く売れる日が来ることを、少なからず期待し続けているのです。悲しい現実です。
僕は父に「今の畑はいずれ使うから絶対売らないように!!」と強くお願いをしました。
一応同意はしてくれましたが、畑の周囲ではどんどん大規模ニュータウン開発が進んでいるので、土地の転用売却の危機は、今後も常につきまとうでしょう。
また、「今の畑では耕作面積が足りないので、いずれ周囲の畑を知り合いの農家から貸してもらうことはできないか」と訪ねました。
すると、
「そんなもん、いくらで貸してもらえるよ」とのこと。
「そ、そんな簡単に貸してもらえるの?」
という問いに対して父が話してくれた内容に、唖然としてしまいました。
話はこうです。
『今、町では農業の後継者がなくて、耕しているのはもうずいぶん前からおじいさんおばあさんばかりだが、その人たちもどんどん耕すのをやめている。ウチの家庭菜園の周りの畑は、耕せる人がほとんどいなくなった。でも休耕地になってしまわないように、一人のおじいさんが何件もの農家の畑を耕してやっている』というのです。
だから、「耕す人がいるのなら農家は喜んで貸してくれるだろう」と言うのです。
こんなことだから、そのおじいさんの耕す畑の生産効率など良いはずもなく、
「一反歩(33mmx33m)につき儲けが年間10万円ぐらい」なんだそうで、
商売としては全然なりたっていないそうです。
市場へは出荷しているものの、息子たちが別の仕事をして稼いでくるし、農業での売り上げはお小遣い程度としか考えていないようです。
そうしてまで耕作を続けている理由は、荒れ地にしないように管理するためというのが現実でしょう。
いちど耕作をやめると、日本の温暖湿潤な気候では植物の生育が旺盛なので、あっというまに薮に覆われてしまいます。
跡取りもいない。作っても儲からない。
そうなってくると農家の方々は、農地を維持しながら、いずれその農地が高く転用売却されることに期待を寄せるようになります。
農地として売却や譲渡は絶対にしないのに、
転用して売れるとなれば、ここぞとばかりにすぐに売ってしまうのです。
(農地として売るのと宅地として転用して売るのでは、一桁も値段が違うのです。)
自らの農業で期待するのはそういう「耕すこと以外からの収入」ということになってしまっています。
それはもう少なくとも実家の町では公然の事実で、実際農家らの間では、「xxxさんの畑が道路開発に引っかかって、xxx円で買い上げられた。そのお金で最近息子の立派な家を建てた。」とか、そんな話題ばかりなのです。
田園風景、優良農地は残しておきたいという声が多いなか、肝心の地主である農家の方々は、むしろ開発を歓迎する傾向にあるのです。
(自分の故郷の人々をこのように言うのはつらいことですが、でもこれが避けられない現実なのです。もちろんすべての農家の方がそうではありませんが)
一度農地を転用して宅地などに開発してしまえば、
そこは二度と農地には戻らないでしょう。
ショッキングな話です。
僕の故郷は今も穏やかな農の生きる町だとばかり呑気に思っていたら、
実情はそんなにボロボロだったのです・・・。
こんな状況は決して僕の町に限ったことではないでしょう。
それどころか、日本全土でこのような事態が進行しているのです。
もし農業をやるとしたら、自分の故郷であれば意外に簡単に土地は貸してもらえることが分かり、その件に関しては多少なりともホッとしました。
でも実家の町の農業、日本の農業、ホント危ないんじゃないか?
どうなってしまうんだろう・・・
と思い、勉強を始めるきっかけにもなりました。
農家の方々の耕作意欲を減退させ、後継者を断ち切らせ、あげくの果てに大切な農地の転用売却収入を当てにするようにさせてしまった日本の農業の仕組みって何なんでしょう。
農政のことを考えると、ちょっと暗くなりがちです。
でも、それでもやってみたいなと思う程、今は農に魅力を感じていますが。

photo:masayoshi ishii kouhoku-ku kanagawa-ken
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