樹木は素敵なアーティスト。落ち葉と戯れるちょっと心地よい一日。 ウィーン旅行記、初めての野菜づくりの体験記も。コメントお待ちしてます!  
秋の小岩井農場 パート7 「かしわばやしに」行ってみたい。
2007年12月06日 (木) | 編集 |
(c)m.ishii



秋の小岩井農場を歩く。
牧場には、堂々としたミズナラの大木のランドマーク。

ミズナラの落ち葉を踏みながら柵に沿って歩いていると、
その何倍もある、子供の顔が隠れるぐらい大きな葉。
モニャモニャした、ちょっとおどけた葉っぱ。

あった、やっと会えた。かしわの落ち葉。


esA_795小岩井



今回の東北の旅は、この日で1週間。
でもまだ会えていなかった木があった。
宮沢賢治が大好きだった「かしわ」の木。
そいつにやっと会うことができた。
思わず心温まる、ひょうきんな木だ。

葉っぱもおどけているけど、
木の格好も何だかビシッとしない。
どてっと構えるミズナラと比べると、やっぱりおどけている。
僕はかしわの木を見ると、
その無骨な枝の格好といい、樹皮のシワの具合といい、
ひょろっとした陽気なおじいさんを連想せずにいられない。



_MG_1984.jpg



宮沢賢治の童話「かしわばやしの夜」は
主人公の清作と画家が、夜のかしわばやしの歌合戦に招待されるというもの。
カシワの木々が次々に自慢の歌を披露する。

「やまねこ、にゃあご、ごろごろ、
  さとねこ、たっこ、ごろごろ」

「うこんしゃっぽの カンカラカンのカアン
 あかいしゃっぽの カンカラカンのカアン」


見るからにひょうきんなカシワに、こんな歌を歌わせる賢治の気持ちが、
僕も分かるような気がする。



_MG_1997.jpg



そして夜のかしわばやしの宴会は最高潮に。
 賢治はカシワの木々やフクロウたちの歌を借りて、
とっても陽気になって乗りに乗って、本当に楽しそうだ。     


「おつきさん おつきさん  まんまるまるるるん
 おほしさん おほしさん  ぴかりぴりるるん
 かしわはかんかの    かんからからららん
 ふくろはのろづき    おっほほほほほほん。」

かしわの木々は両手をあげてそりかえったり、
頭や足をまるで天井に投げ上げるようにしたり、
一生懸命踊りました。

(中略)

柏の木大王もよろこんですぐうたいました。
「雨はざあざあ ざっざざざざざあ
 風はどうどう どっどどどどどう
 あられはぱらぱらぱらぱらったたあ
 雨はざあざあ ざっざざざざざあ」



そして霧が出て、主人公の清作が森を出て帰る時には、


 柏の木はみんな踊りのままの形で残念そうに横目で清作を見送りました。


そう、カシワの木のおどけたような立ち姿は、
夜に歌合戦をして踊っているからなのです・・・

ああ、賢治をこんなにハイにさせる、夜のかしわばやしに行ってみたい。



esA_810小岩井



photo:m.ishii
2007.11
引用:宮沢賢治著 「注文の多い料理店」より「かしわばやしの夜」 新潮文庫