2007年11月27日 (火) | 編集 |
「ラリックス ラリックス いよいよ青く
雲はますます縮れてひかり
わたくしは かっきりみちをまがる」

僕はこの宮沢賢治の詩「小岩井農場」の
最後のしめくくりの部分が、たまらなく好きなのです。
賢治が好きだったカラマツを、
その学名で「ラリックス ラリックス」(リラックマではない)と繰り返すだけで、
なんて異国的に響くことか・・・
それから賢治は、どこで道を「かっきり」曲がったのでしょう。
ほんの3行の短い文なのに、いろいろ想像力が膨らみます。
その小岩井農場へ。
盛岡から郊外に延びる国道を車で15分ほど走った辺りで
案内板に従い右に曲がると、
突然視界は開けて、遠くまで続くなだらかな牧草地に広い空。
車はそのまま異国の風景の真っ只中に飛び込みます。
小雨降る中をカッパをがっしりと着込んで、
カラマツの並木の下や、周辺の林を散策しました。

賢治が
「ネクタイピンにほしいくらいだ」
と詩で語ったカラマツの葉や
針葉樹の落ち葉がふかふかに積もって、
その上に顔を出したツタウルシの幼木が
一人前に色付き始めていました。
「ラリックス ラリックス・・・」
雨の小岩井農場を歩きながら繰り返していたら、
もう止まらない・・・クセになってしまった!!

つづく
m.ishii 2007.11
引用:宮沢賢治著 新編宮沢賢治詩集より「小岩井農場 パート九」 新潮文庫
雲はますます縮れてひかり
わたくしは かっきりみちをまがる」

僕はこの宮沢賢治の詩「小岩井農場」の
最後のしめくくりの部分が、たまらなく好きなのです。
賢治が好きだったカラマツを、
その学名で「ラリックス ラリックス」(リラックマではない)と繰り返すだけで、
なんて異国的に響くことか・・・
それから賢治は、どこで道を「かっきり」曲がったのでしょう。
ほんの3行の短い文なのに、いろいろ想像力が膨らみます。
その小岩井農場へ。
盛岡から郊外に延びる国道を車で15分ほど走った辺りで
案内板に従い右に曲がると、
突然視界は開けて、遠くまで続くなだらかな牧草地に広い空。
車はそのまま異国の風景の真っ只中に飛び込みます。
小雨降る中をカッパをがっしりと着込んで、
カラマツの並木の下や、周辺の林を散策しました。

賢治が
「ネクタイピンにほしいくらいだ」
と詩で語ったカラマツの葉や
針葉樹の落ち葉がふかふかに積もって、
その上に顔を出したツタウルシの幼木が
一人前に色付き始めていました。
「ラリックス ラリックス・・・」
雨の小岩井農場を歩きながら繰り返していたら、
もう止まらない・・・クセになってしまった!!

つづく
m.ishii 2007.11
引用:宮沢賢治著 新編宮沢賢治詩集より「小岩井農場 パート九」 新潮文庫
2007年11月26日 (月) | 編集 |
岩手県花巻市の田園地帯。

宮沢賢治の創作活動のフィールドであった花巻郊外を歩きました。

「なめとこ山の熊」や「鹿踊りのはじまり」に出てくる「鉛温泉」の近くまで、
4時間ほどかけて、寄り道をしながら歩きました。

宮沢賢治の教え子さんの話では、
この辺りを賢治は農学校の生徒らを引き連れて、よく散歩をしたといいます。
当時、ここにはススキの平原が広がっていて、
賢治先生は生徒さんといっしょにススキの穂を丸く輪にして、
キキョウ、オミナエシなどを刺して、花輪にして首にかけて遊んだのだそうです。
賢治先生は、花輪を首にかけて、両手を上に挙げて、
子供のように「ホーッ、ホーッ」と叫びながらススキの平原を歩きました。
だけど今、歩いてみると、
田んぼとリンゴ畑の他は宅地が広がるばかり、
ススキの平原は、ありません。

ああ、もうみんな変わってしまったんだ・・・帰ろうか、
いや、もう少し歩こう・・・と豊沢川の上流に進むと、
そこには、ささやかながら、ススキ野原が残されていました。
「ススキ野原に会えた! まだ残っていたんだ!!」
と、喜んだのも束の間、よく眺めてみると、
ススキの向こうには、新興住宅地の家々の真新しい屋根たちが迫っています。
ここはもう、宅地に開発され、消えてゆく運命にあるのかもしれません。
ススキ、ススキ、会えた会えた。
ここでお昼だ。おにぎりを食べよう。
ススキ野原の手前の田んぼのあぜ道に腰を下ろすと、
背後の家々は、背の高いススキに隠れて見えなくなりました。
ススキの向こうには、「なめとこ山の熊」の舞台にもなった山々が望めます。
賢治の時代に広がっていた風景は、こういうものだったのかな?と、
少し体感できたような気がしました。

ススキは、本当に銀色に輝いていました。
光の粒子で満たされていました。
「銀色に輝く」とは、こういうことか・・・
それは、言葉でしか表現できないものでした。

決して写真に写らない、銀色の輝き。
それが写らないのが分かっていながら、
ああ、どうして僕は、写真を撮るのだろう・・・
僕の敬愛する動物写真家、星野道夫も言っていたっけ。
「一番美しいところは、カメラを置いて、目に焼き付けるんだ。」と。
そう、写真を真摯に志す人は、
決して写らない美しさがあることを、知っているのです。
宮沢賢治の童話の世界には、
当時の風景が、生き生きとした文章で語られています。
そうやって賢治が、魔法のような魅惑的な言葉を書き残したことによって、
世界がその後いくら変わろうとも、
風景は永遠に不滅の映像となって、焼き付けられたのです。
写真で残されていなくても、
言葉が、風景を新鮮なまま、
永遠に消えることない映像として焼き付けているのです。
かえって写真には、言葉よりも不自由で、
言葉の風景よりも、写らないものもある。
でも言葉を超えられることも、たまにあるんだ・・・・
ぶつぶついいながら、結局僕は写真を撮り続ける。
世界と僕との距離を埋めるために。

Hanamaki Iwate 2007.11
(c)m.ishii

宮沢賢治の創作活動のフィールドであった花巻郊外を歩きました。

「なめとこ山の熊」や「鹿踊りのはじまり」に出てくる「鉛温泉」の近くまで、
4時間ほどかけて、寄り道をしながら歩きました。

宮沢賢治の教え子さんの話では、
この辺りを賢治は農学校の生徒らを引き連れて、よく散歩をしたといいます。
当時、ここにはススキの平原が広がっていて、
賢治先生は生徒さんといっしょにススキの穂を丸く輪にして、
キキョウ、オミナエシなどを刺して、花輪にして首にかけて遊んだのだそうです。
賢治先生は、花輪を首にかけて、両手を上に挙げて、
子供のように「ホーッ、ホーッ」と叫びながらススキの平原を歩きました。
だけど今、歩いてみると、
田んぼとリンゴ畑の他は宅地が広がるばかり、
ススキの平原は、ありません。

ああ、もうみんな変わってしまったんだ・・・帰ろうか、
いや、もう少し歩こう・・・と豊沢川の上流に進むと、
そこには、ささやかながら、ススキ野原が残されていました。
「ススキ野原に会えた! まだ残っていたんだ!!」
と、喜んだのも束の間、よく眺めてみると、
ススキの向こうには、新興住宅地の家々の真新しい屋根たちが迫っています。
ここはもう、宅地に開発され、消えてゆく運命にあるのかもしれません。
ススキ、ススキ、会えた会えた。
ここでお昼だ。おにぎりを食べよう。
ススキ野原の手前の田んぼのあぜ道に腰を下ろすと、
背後の家々は、背の高いススキに隠れて見えなくなりました。
ススキの向こうには、「なめとこ山の熊」の舞台にもなった山々が望めます。
賢治の時代に広がっていた風景は、こういうものだったのかな?と、
少し体感できたような気がしました。

ススキは、本当に銀色に輝いていました。
光の粒子で満たされていました。
「銀色に輝く」とは、こういうことか・・・
それは、言葉でしか表現できないものでした。

決して写真に写らない、銀色の輝き。
それが写らないのが分かっていながら、
ああ、どうして僕は、写真を撮るのだろう・・・
僕の敬愛する動物写真家、星野道夫も言っていたっけ。
「一番美しいところは、カメラを置いて、目に焼き付けるんだ。」と。
そう、写真を真摯に志す人は、
決して写らない美しさがあることを、知っているのです。
宮沢賢治の童話の世界には、
当時の風景が、生き生きとした文章で語られています。
そうやって賢治が、魔法のような魅惑的な言葉を書き残したことによって、
世界がその後いくら変わろうとも、
風景は永遠に不滅の映像となって、焼き付けられたのです。
写真で残されていなくても、
言葉が、風景を新鮮なまま、
永遠に消えることない映像として焼き付けているのです。
かえって写真には、言葉よりも不自由で、
言葉の風景よりも、写らないものもある。
でも言葉を超えられることも、たまにあるんだ・・・・
ぶつぶついいながら、結局僕は写真を撮り続ける。
世界と僕との距離を埋めるために。

Hanamaki Iwate 2007.11
(c)m.ishii
2007年11月23日 (金) | 編集 |
岩手県、花巻の田舎で、
ネコが道の真ん中を歩いています。

ネコに近づこうとしたら、逃げ出しました。
走る! 走る!

いつもネコが逃げると、ついつい追いかけてしまいます。
待てっ!逃げなくてもいいじゃんかっ!
ネコは慌てて、薮の中にザザッと突進!

そして薮越しに、僕をジーッとにらみつけます。
ネコと僕との間に、ピンと張りつめた空気・・・
僕が一歩でも距離を詰めようものなら、
ものすごい勢いでガーッと走り出すのは分かっています。
仕方ない、引き上げるか・・・
いつも結末はこんな感じ。

ああ、今日もまた、ネコを追いかけてしまった。
m.ishii
ネコが道の真ん中を歩いています。

ネコに近づこうとしたら、逃げ出しました。
走る! 走る!

いつもネコが逃げると、ついつい追いかけてしまいます。
待てっ!逃げなくてもいいじゃんかっ!
ネコは慌てて、薮の中にザザッと突進!

そして薮越しに、僕をジーッとにらみつけます。
ネコと僕との間に、ピンと張りつめた空気・・・
僕が一歩でも距離を詰めようものなら、
ものすごい勢いでガーッと走り出すのは分かっています。
仕方ない、引き上げるか・・・
いつも結末はこんな感じ。

ああ、今日もまた、ネコを追いかけてしまった。
m.ishii




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